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そめちめとブログと創作放出場

主にオリジナル作品、自分の日記などを載っけていきます。

三章 交差②

カランコロン、とドアチャイムの音がして扉が開く。
するとそこから、銀色の髪を持った一人の少女が踊るようにして入ってくる。
「フォル君も早く早くっ」
彼女の名はシャーラ・I・ディザスター。
「厄災の国」という小さな国の姫であるが、彼女のその無邪気な振る舞いからは、誰が見てもごくごく普通の一人の少女としてしか映らないであろう。
シャーラは目を満点の星空のように輝かせて、小さな扉の内に広がる小さな世界を見た。
「料理ハウス」の店内はあの棘々しい外装とは裏腹に、一般的な洋風レストランのように程よい装飾に彩られていた。
やや埃っぽいことが悔やまれるが、優しい明かりに照らされた店内には、テーブルや椅子がきちんと均等な距離を保って並べられており、店内にかかった煩すぎず小さすぎない音楽が、客の心を穏やかにしてくれる。
落ち着いていて素敵な店だ、とシャーラは思った。
もしかしたら、この洋風でどこか懐かしい店内が、自らの故郷である「厄災の国」のことを思い起こさせているのかもしれない。
「ちょっとシャーラちゃん、勝手に入らないで……わ!?」
すると、シャーラの後を追ってまた一人の少年が店の扉を開ける。
彼――フォル・A・バイムラートは、入って間もなく、あの奇々怪々、摩訶不思議、一種異様な外装と、内装の落ち着いた雰囲気とのギャップに思わず声を洩らした。
「見かけだけじゃわからないってこういうことを言うんだね」
一度扉をくぐればそこは別世界なのだと、彼はひしひしと痛感していた。

「――あら、お客様ですか~?」
フォルとシャーラが店の扉の近くにしばらく佇んでいると、店の奥から一人の女性の声が聞こえた。
それに伴い、一人分の足音が、ぱたぱたと忙しない様子でフォル達の前へやってくる。
「いらっしゃいませ~。私の店へようこそ~」
そんな挨拶とともに現れたのは、奇抜にもゴスロリ服に身を包んだ一人の女性だった。
身長はシャーラよりやや低い程度。
黒ベースに紫のリボンと白のフリルをあしらったゴシック&ロリータを着こなしており、二つにまとめられた癖毛の金髪、そしてそこから覗く碧眼が、よりいっそうゴスロリ服の魅力を引き立てていた。
その服装から若干幼いように見えるが、その佇まい、仕草や声質から、実際は二十代前半という印象を受ける。
「私の店」と言ったことから、どうやらここは彼女の店であるようだ。
「そのお洋服、とても可愛らしいです……!」
初めて目にするファッションスタイルに感激するシャーラに「ありがとうございます~」と丁寧に頭を下げるゴスロリの女性。
「カップルさん一組ですね、それではこちらの席へどうぞ~」
ゴスロリの女性が案内したのは、いくつもある席のうち、店に入って右奥にあるテーブル席であった。
「それじゃあ座ろうか…………あれ、シャーラちゃん?」
フォルはシャーラの手を引くが、彼女は顔を真っ赤にさせたまま動こうとしなかった。
「えっ、あ、はっ」
すると何かに気付いたように彼女は片手で顔を覆うと「か、カップル……だなんて……まだわたし達はそういった関係では……」等とぶつぶつと呟いている。
「シャーラちゃん耳赤いよ?」
「あ、赤いですかわたし!?」
あからさまな動揺を見せるシャーラ。
「もしかして具合が悪いの?」
「だ、大丈夫です、ちょっと、ぼーっとしてた、だけ、だったり……」
ロボットのように不自然な動きで席に着こうとするシャーラを、フォルは何かと怪訝そうに見ていたが、特に何かをするわけではないとわかると気にしないことにした。
シャーラの方も一度落ち着いて深呼吸をすると、真っ赤になっていた顔も普段通りに戻ったようで、そのままフォルに手を引かれながら席へと移動する。
「青春、ですね~」
その様子を見ていたゴスロリの女性が、誰に言うわけでもなく一人懐かしむように呟いていたのだった。

フォル達は席に着くと、それぞれほっと一息ついて間もなく、二人はそれぞれ好きなようにくつろぎ始める。
「ご注文がお決まりになりましたらお呼びくださいね~」
そう言ったゴスロリの女性が、丁寧にフォル達の席にメニュー表を置いた。
少々サイケデリックなデザインが施されたそのメニュー表は、メニュー内容こそ普通なものの、どこか不安を感じさせるようなオーラをこれでもかというほどに放っていた。
「メニューに蝙蝠のスープみたいなのとか載ってたりしてね」
「ウチにそんなものありませんよ~!」
「ははは、冗談だよ」
フォルはゴスロリの女性をからかいつつも、出されたメニュー表を手にとって開こうとする。
すると、

「――――こんちわ~!」

何やら店の入り口の方で人の声が聞こえたかと思えば、ガタン、と扉がやや雑めに開かれた。
それに伴い数人の男女が店内に入ってくる。
人影は三つ。
一人は十代前半程度の、ニット帽を被った金髪の少年。
そしてその脇を固めるように、十代後半であろうリーゼントの少年とジャージの少女の二人が佇んでいた。
金髪ニット帽、リーゼント、ジャージと、あからさまに柄の悪そうな印象を与える格好の集団であるが、何故か見る限り彼らが悪人だという風には見えない。
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見たところ彼らもまた、フォル達と同じようにここに来た客なのだろう。
ただフォル達と違うのは、この来るものを拒むような外装の店にえらく慣れているということだ。
様子からして、何度もこの店に脚を運んでいると思われる。
「あら、いらっしゃいませ~」
ゴスロリの女性はにこやかに会釈をすると、フォルとシャーラに向かって小さく、うちの常連さんなんです、と顔を綻ばせ、少し小走りに常連という客達のもとへ向かっていった。
「ん?あれ!?今日は他に人かいるじゃねーか!」
フォル達の姿を発見するや否や、ニット帽の少年が幽霊でも目撃したような顔で言う。
「イヤですね、うちは料理店なんですからお客様に決まっているじゃないですか~」
そんないつも客が来ないみたいな言い方をしないでください~、とゴスロリの女性は言うが、いやいつもオレ達しか来ねぇだろ、とニット帽の少年から悲しい事実を突き立てられてしまう。
どうやらあの店の外装が災いしているのか、どうにもこの店の客足は乏しいようである。
「それでよく暮らしていけるね……」
そう呟いたフォルは改めて店内を見渡す。
確かに席こそ多いものの、一部は埃を被っており、使っていないというよりは使うつもりがないように見てとれる。
そもそも、従業員もどうやら店主であるゴスロリの女性のみであるようだ。
だが彼女は見たところそのことを気にしている素振りはなく、ただただ慣れ親しんだ様子で、常連である彼らと会話を弾ませていた。
扉の小窓から入り込んだ光が彼らを照らしているせいか、まるでそこだけ彼らだけの別の世界が存在しているように見える。
そんな見るからに親密そうな彼らの姿を、シャーラは笑みをこぼしながら眺めていた。
「ふふっ、楽しそうですね。わたしもあんな風に友人同士で何気ない会話に花を咲かせたいです」
フォルもまた、そうだね、と素っ気ない返答をしながらも、ゴスロリの女性と客達の姿だけはしっかりと横目で捉えていた。
「友達、ね」
どちらかと言えば家族みたいだ、とフォルはただ漠然と感じていたのだった。

「しっかし珍しいッスね、ここに¨マトモな客¨が来るなんてよォ」
常連の一人、リーゼントの少年が珍獣でも発見したかのようにまじまじとフォル達を見る。
「てゆーかむしろ、こんな店にわざわざ来るなんて怪しい」
ジャージの少女が眉間にしわを寄せながら言うと、傍らでゴスロリの女性が「こ、こんな店!?」と悲しげな声を洩らす。
「初対面の相手に失礼過ぎだろ……」
と、ニット帽の少年が重苦しいため息を吐いていた。
「こいつらこんなやつなんで、何かすいませんね……あ、オレ『ライト』ッス」
彼はリーゼントの少年とジャージの少女の頭を無理矢理掴むと、そのまま力ずくで頭を下げさせた。
立ち位置からして、どうやら「ライト」と名乗った彼は二人の兄貴分的存在であるようだ。
「わたし、シャーラといいます。こちらのフォル君とともに旅をしている者です」
シャーラは丁寧な物言いで礼をする。
それに伴い、隣で手悪戯をして遊んでいたフォルが「よろしく」とうっすら笑顔を浮かべていた。
「へへ、旅人かァ~こんな美人さんもいるんスね、アニキ!」
リーゼントの少年が鼻の下を伸ばしながら言うと、すぐさまライトから鉄槌が下る。
「馬鹿野郎、どこ見て言ってやがんだ!」
「でもよ、アニキだってシャーラさんの胸ガン見して――」
「してねーよ!」
そのまま二人は言い合いになり、時折相手の体に拳をぶつけながら「この前変な本立ち読みしてた」だの「ベッドの下に隠してるの知ってるんだからな」等と他愛もない口論をし始める。
「ったく、男っていつもそんなんばっかだな」
はぁ、とため息をつきながら言うのはジャージの少女だった。
「まぁいいや、アタシは『チトセ』。ライトのアニキの右腕的存在だからよろしく」
すると、何かに反応したのか、それまでライトと口論を繰り広げていたリーゼントの少年がチトセをぎろりと睨み付け、
「ハァァァ~???な~にがアニキの右腕だジャージ女!アニキの右腕はこの俺様、『ノイ』以外にありえねーだろうが!」
彼はどうやらチトセが自らを「ライトの右腕的存在」と称したことに納得がいかなかったようだった。
チトセはめんどくさそうな表情で、顔に貼ってある絆創膏の辺りを掻く。
「はー誰がアニキの右腕だって?テメーは下っ端の下っ端だろうが!」
突っ掛かってきた「ノイ」に対抗して、チトセもが負けじと荒々しく彼の胸ぐらを掴む。
「んだとチトセ!ちっとばかし喧嘩つえーからって調子のってんじゃねぇぞコラ!」
「調子のってんのはテメーだフランスパン頭!なんなら今ここでマジにシめてやってもいいぜ?」
「フランスパ……上等だテメー!」
売り言葉に買い言葉。
今にも喧嘩が始まりかねない雰囲気である。
「店内での暴力はお控えくださいね~」
優しく仲裁に入るゴスロリの女性。
当然ながら、そんなことで彼らが止まらないのは一目瞭然だった。
「あらら、ほっぺのつねり合いし始めてますね~」
「姐(アネ)さん、もっとこうガツンとやっていいッスよ」
取っ組み合いをおっ始めるノイとチトセを見ながら、ライトが呆れた表情で言う。
フォル達もまた気まずい表情で、不良二人がいがみ合う様を見ていた。
「ガツン、ですか~……」
するとおもむろに、ゴスロリの女性はそう呟くと、微かに自らの拳を握る力を強める。
そして、
「ガツン!!!」
「ゔ!」「ごぁ!」
なんと、左右の拳でそれぞれノイとチトセのこめかみを殴りつけたのだった。
一瞬、その場にいた全員が言葉を失う。
やがて小さな呻き声を上げた二人は、そのまま支えを失ったかのように床に倒れてしまった。
「あら?ガツン、じゃなくてゴツン、になっちゃいましたね~」
「いや、ガツンって殴れって意味じゃねーから!」
うふふ、と微笑むゴスロリの女性に、ライトが鋭いツッコミを入れる。
「…………フォル君、こ、これ気絶してませんか?」
「してるね」
哀れにも白目を向きながらピクリとも動かなくなったノイとチトセを、フォル達は気の毒そうに見ていた。
「シャーラちゃん、魔法使って起こしてあげれば?」
「は、はい!只今」
「だーいいッスいいッス、オレやるんで」
ライトは魔法を用いようとしていたシャーラをやや優しめに押し退けると、そのまま死体のように倒れている二人の傍まで駆け寄る。
「こいつらにはこれで十分ッスよ」
彼はそう言うと、自らの両手をそれぞれノイとチトセの首筋に近付けた。
そして、
「よっ」
「ゔ!」「ぁご!」
突如、バチン、と何かが破裂するような音が、かざされたライトの両手から響いた。
それに伴い、床に突っ伏したノイとチトセの身体が、びくん、と動く。
「オラ、起きろお前ら!」
「は!お、俺達は一体……」
「何かしてたような気がするけど思い出せない……」
ライトが声をかけると、痙攣しながらゆっくりと目を覚ますノイとチトセ。
さながら、電源スイッチの入ったばかりの機械のような挙動だ。
フォルとシャーラは一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
が、ライトの手のひらから発せられる僅かな電撃を見た途端、彼らは瞬時にそれを理解する。
「『異能力』……!」
フォルが思わず声をあげると、ライトは得意気な顔でニヤリと笑ってみせた。
「どういうわけかオレ、生まれた時からこの力が使えるみたいなんスよ」
ライトは、自分でもよくわかんねーッスけど、とぼやきながら軽めに指先から電気を発した。
通常、異能力というものは、危機的状況に陥った生命体が自らの身体のリミッターを解除するのに伴い、大気中の魔力粒子がその生命体の細胞と結び付き、突然変異を起こすことで発現するものだ。
しかしごく稀ではあるが、親の持つ異能力を遺伝で受け継ぐということがある。
ライトのように先天的に備わっているという事例は現在判明しているだけでも数えるほどしかなく、未だ詳しい事柄は解明されていない。
「ま、おかげで喧嘩は負け無しッスよ」
指先をうねうね動かしながら、遊ぶように指の間に電気を走らせているライト。
彼は言わずもがな、電気系統の異能力者なのであり、また彼こそが俗に言う遺伝型の異能力者なのである。

「それにしても、最近は不良達が喧嘩なんかしててやたらと物騒ですね~……先程もドンパチやってたようで、店の外がやけに騒がしかったんです~」
ゴスロリの女性はオロオロと戸惑いを露にする。
「喧嘩、ねぇ」
フォルは小さく呟いた。
先程、というと、この料理ハウスの店先でデクレとクレスら双子とフォルとの戦闘が繰り広げられていた事実と一致する。
ゴスロリの女性が言ったのはおそらくそのことだろうとフォルは確信した。
「フォル君、もしかして先程の喧嘩というのは……」
シャーラも気付いたのか、そっとフォルに耳打ちするが、彼は何も言うなと言わんばかりに首を振る。
「ライト君達も大丈夫ですか~?何か虐められたりとか困ったことはありません~?」
「ねぇよ!」
ゴスロリの女性の問いにきっぱりと答えるライト。
「私に頼ってくれてもいいんですよ~?」
「誰がするか!……てか、困ったらここじゃなくてケーサツ行くしよ」
「ええ!?それこそ心配です~!不良少年が警察に行くなんて自首と同」
「一応まだ何も悪いことしてねーからなオレ!」
ゴスロリの女性に、自分が悪事を働いていないと全力で否定するライト。
「確かに、アニキは万引きすらしたことねェよなァ。俺ァ昔は暴れてたけどよ」
「アタシもアニキと出会ってからは落ち着いてるわ……喧嘩売られたら買うけど」
犬が威嚇するように唸るライトの様子を、ノイとチトセはうんうんと何度も頷きながら見ていた。
どういうわけか、ライトはおろか現在においてはノイとチトセすらもただの見た目だけの不良、すなわちファッションヤンキーの類いであるらしい。
見た目とのギャップが、よりいっそう滑稽さを引き立てていた。
「あらら、そうでしたか~……私はライト君くらいの歳の頃は荒れていたので、てっきりライト君もそうかと思ってました~」
ゴスロリの女性は安堵したような、しかしややガッカリしたように肩を落としてしまう。
「へぇ、店主さんみたいな人でもヤンチャしちゃうものなの?」
フォルが悪戯っぽい笑みで冷やかすと、ゴスロリの女性は、ええもちろんです、と慣れたように微笑んだ。
「実は異名まで付けられてたんですよ~。えーっと、はた……はたはた……みたいな~」
自信満々で語り出したものの、肝心なことを忘れているのか、次第に言葉が勢いをなくしていくゴスロリの女性。
「それ忘れちゃダメでしょ……」
フォルが呆れたという視線を送るが、女性は誤魔化すようにうふふと笑うのみだった。

「……ところでよォ」
すると、ノイが絞り出すように口を開く。
「俺達いつまで立ってりゃいいんだ?」
その瞬間、ゴスロリの女性は思わず「あっ」と声を洩らす。
フォル達が座っている傍らで、ライト達はまるでマネキンのバイトでもさせられているかのごとく佇んでいたのだ。
「そういうことならせっかくですし、フォルさんやシャーラさんと相席してはいかがですか~?」
「雑だなぁ……いいけど」
「わ、わたしも大丈夫です」
ゴスロリの女性の応対に困惑の表情を見せたフォルとシャーラだったが、やむなく了承する。
「この人絶対オレらの席のこと忘れてただろ……」
ライトはゴスロリの女性に対し、拭いきれない疑いの念を露にしながら、しぶしぶフォル達と同じ席に着いた。
「お気の毒だね、君」
不満気な表情のライトを軽く小付くフォル。
「いいじゃないですか、ここで出会ったのも何かの縁ですし、皆でお話でもして楽しみましょうよ」
すると、ライトを挟んで向かい側にいたシャーラが、彼をフォローするように優しく微笑んだ。
「ハ、ハイ!俺ァ美人さんとお話するのはむしろウェルカムッス!!」
だがノイが、ライトを差し置いて突如、身を乗り出すようにして自らをアピールし始める。
「なんでおめーが反応するんだっつーの」
「ぐぉ!」
彼の欲望見え見えの行動に、チトセが軽く彼の腹に軽めのブローを入れた。
「テメー!いきなり殴るんじゃねぇ!!」
いきなりの攻撃でノイはチトセに対し怒りを露にするが、チトセは無反応のまま自分の席に座る。
「なんだってんだまったく……」
ノイは小さく舌打ちをすると、そのまま勢いを無くすようにして席に着いた。
「…………シャーラちゃん、これ楽しくできないんじゃないかなぁ」
依然としてピリピリとした空気を漂わせているこの状況に、フォルが深いため息を吐く。
「お前らなぁ……」
ライトもまた呆れた様子であった。
「だ、大丈夫ですよ!喧嘩するほど仲が良いと本で見たことがありますし――」
「「良くない!」」
「ひっ、ごめんなさい……」
シャーラは必死に場を取り繕おうとするも、ノイとチトセの気迫に気圧され、空気の抜けた風船のように萎んでしまう。
するとそこで再び火が付いたのか、ノイとチトセの間では「真似すんな」を皮切りに喧嘩第二回戦が勃発することとなった。
「……これは……そっとしておこう」
「そうッスね」
フォルとライトは、一々気にしていてはキリがないと、彼らの喧嘩については極力無視することにした。
「じゃあ店主さん、リンゴジュースあったらお願い」
とりあえずフォルは飲み物を注文する。
「オレ、コーラ」
フォルに続くライト。
「で、ではわたしは温かいミルクを」
さらにシャーラが注文した。
「承りました~。少々お待ちを~」
注文を受けたゴスロリの女性も、すぐそこで行われている喧嘩に目もくれずに、ぱたぱたと忙しない様子で厨房へ向かっていったのだった。

「――さてと、この町についてもう少し情報が欲しいし、情報収集がてらお話でもしようか」
「はい!」
「お、そーッスね」
フォル達は注文を待つ間、各々が好きな話題で会話を始めるのだった。