そめちめとブログと創作放出場

主にオリジナル作品、自分の日記などを載っけていきます。

二章 ③

現時刻は12時になるところである。
取り調べは2時頃だということで、しばらくの間僕とピアニはハルクード支部内をほっつき歩く事にした。
「あ、そうそうノラム、…ちょっとお願いがあるんだけど」
「ん?」
お願い?一体なんだろうか。
まさかピアニに丸投げしていた書類関係に関することだろうか。
「えっと、実は――」






「―――お?ノラムとピアニじゃないか?」


「ひぇっ!?」
話の途中に唐突に背後から呼ばれる。
それに驚いたのかピアニは舌をかんでしまったようだ。
誰かと思い声のした方向へ体を向けると、そこには17歳程度の青色の眼を持った銀髪の少年がいた。
そしてその少年にひっつくように、少年と同年代くらいの赤眼金髪の少女もいる。
「えー…っと、誰だっけ…」
「ひょ、ひょっとあんたしふれいすぎじゃないの!?あたひたひのしぇんぱいよ!!」
「もうちょっと聞き取れるように言ってほしいっす」
舌をかんだせいでまともな発音ができないピアニをさておいて、とりあえず目の前の人物の名前を思い出そうと………駄目だ。全然思い出せない。
「お、お名前何て言うんすかね?」
失礼だとは思いつつも聞いてみると、少年の方から口を開いた。
「…ブルーアイズだ。それとこっちは…」
「リニアです」
正直怒られるかと思ったが親切に名前を教えてくれた。
そうか、ブルーアイズとリニアか。
「なんとなーく思い出せた気がするっす。ありがとっす」
「俺達一応お前の上司なんだけど…」
「というか何で忘れるんですか。先日も会った気がするのですが」
「あんた本当にすぐ忘れるわよね…」
ボロクソ言われてしまった。
「忘れっぽいあんたのために一応言っておくと…ブルーアイズさんは風の能力者。で、リニアさんは電気の能力者。二人ともすごい能力でかなり優秀な隊員よ」
「へいへい、ご丁寧に説明アリガトゴザイマスピアニサン」
「馬鹿にしてる…?」
「してないっすよええしてないっす」
ピアニに説明されてもまだいまいちよくわからないが、要するにすごい上司だということでいいのだろうか。
言われてみればそんなオーラも出ている。暗殺部隊にいてもおかしくないくらいだ。
「…で、そのエリート様が何のご用っすか」
「あぁ、任務に向かう途中でお前らを見かけたから声をかけただけだ」
「それだけっすか」
「それだけのつもりだったのに忘れっぽいノラムさんのせいでこうなりました」
「…はいすいません」
そういえばそうだった。これ完全に僕のせいだ。
ただ反省はあまりしていない。
「ま、任務っつってもただの取り調べだから別にいいけどな」
「へぇ奇遇ですね、あたし達も取り調べなんです。確か『姫誘拐の犯人』の」
「?それ私達も同じ内容でしたよねブルーアイズさん」
「そうだな」
「え?まさか…」
僕の言葉に、ブルーアイズは少々意地悪な笑みを浮かべて言った。
「そう、そのまさからしい」







―――取調室。四方が分厚い壁で囲まれ、小さな明かりが照らす室内にぽつりと小さな机が置いてある。
結局のところ、僕とピアニの二人に加え、ブルーアイズとリニアも取り調べに参加することとなってしまったわけだ。
気乗りはしないが仕方なく受け入れる事にする。

机に座っていたのは、二十代~三十代くらいのとげとげとした白髪を持つ男だった。
「…お前が『シャイン』っすか?」
身体中に巻いた包帯のせいでもあるのか、そのするどい紅眼は歴戦を潜り抜けてきたような勇ましさを感じさせた。
「…時間か。」
今回の事件の発端…シャインは、落ち着いた様子でこちらを見た。
「そうだ。じゃあさっさと始めよう」
ブルーアイズもまた落ち着いた様子でシャインを見据える。
「四人も取り調べに必要なんすかねぇ…」
大体はエリート先輩方とピアニがなんとかしてくれそうなので、僕は半分くらい参加しないつもりで取り調べを見ることにした。




―――それにしても、ピアニがさっき言ってたお願いとはなんだったのだろう。
当の本人はすっかり忘れてしまっているようだが。

…人のこと言えたもんじゃないな。